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Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する

以前の記事
「YouTubeに静止画(スライドショー)つきmp3をアップロードする」
で、アマチュア・オーケストラの演奏をYouTubeに上げる方法を書いたのですが、これ、やっぱり手がかかるんですよね……(TT)

YouTubeの方がなにかと宣伝には役に立つのは分かっているし、演奏会情報なども載せられるという利点はあるのですが、軽いMP3だけのストリーミングも捨て難い。問題は、昨今動画の投稿サイトは山ほどありますが、MP3のネットストリーミングをやってくれる(違法でない)投稿サイトで、なおかつ回線がいつでも安定している所はあまりない、ということです。

まあ、ホームページを持っている方なら、実はMP3をアップロードしてしまえばストリーミングも可能なんですが、これは殆どのレンタルサーバで嫌われます(データ転送量が多くなるから)。しかも、回線がそれ用に確保されていないので、ストリーミングにすると音質が酷くて使えないとか、ブツブツ切れる、というのは十分有り得ます。
つまり、なんとかして、そこそこ回線の安定した、ストリーミングを許す(無料)サーバーが欲しいわけです。

それで、目をつけたのが、Last.fmです。先に結果を見せると、こんな感じになります。
下のページをクリックしたら、新しい窓が開きますので、横向き▼印(プレイボタン)を押して下さい。それで演奏が始まります。また、曲名をクリックするとその曲の説明ページに飛びます。

保科アカデミー室内管弦楽団創立15周年記念定期演奏会 東京公演(2009)

とりあえず、合格レベルの音質で配信してくれていると思いますが、皆様の環境ではいかがでしょうか?
以下、このLast.fm でアマオケの演奏(作曲・編曲者の著作権が切れているもの)をアップロードして公開するまでの手順です。

作曲家の著作権が現存する楽曲(JASRACが管理しているもの)をLast.fmにアップロードする場合には、
「Last.fmにJASRAC管理曲の演奏MP3をアップロードする件について」を必ずお読み下さい。






1)Last.fmって?

Last.fmというのは、イギリスのMP3ストリーミング(ネットラジオ)会社です。つまり、MP3をアップロードするとストリーミングしてくれるわけですが、これが必ずしもCDレーベルでなくても、個人でもアップロードさせてくれるのです。

実は以前から、Last.fmに興味を持っておりました。これを知ったのはexciteブログにその機能がついてきたからですが、そのコンセプトが気に入ったのです。それは何かというと、デフォルトで3回までのフルトラック視聴を許してくれるところです。これは、我々素人の演奏ではなくて、プロの商業レーベルの演奏の話です。
現在、JASRACに使用料を払わずに視聴出来る最大の長さは30秒45秒。だけど、フルオーケストラの曲をたかだか30秒45秒聴いたからって、一体何がわかる?!と私は言いたい。
演奏家だって、作曲家だって、たった30秒45秒で演奏や楽曲を判断してほしくないと思いますよ。JASRACや各国の著作権団体は演奏家や作曲家が加盟する団体ですから、なんか自分で自分の首絞めてるんじゃないかとずっと思っていたのです。
8/21訂正。JASRACは45秒でした。スミマセン。
Last.fmはヨーロッパでまずこの「3回までフルトラック無料視聴」のシステムを始めて、漸く日本でもJASRACを口説き落としてくれたようです。バンザイ!
ちなみに、4回目からは、通常の30秒視聴になります。それ以上聴くなら、MP3をダウンロードで買って下さい、というシステムです。ついでに、折角のフルトラック視聴も、途中でストップボタンを押すとそれも1回視聴したとカウントされますのでご注意。

あと、楽曲を聞く、という立場からすると、Scrabble機能だのネットラジオだのいろんな機能がありますが、それはこのエントリーにはあまり関係ないので、とばします。googleでサーチかけると、いっぱい説明サイトがでてきます。

2)オーケストラ団員全員の合意をとる

これ、大事です。細かいことをいうと、一人でも「イヤ」と言ったら、ネット上でのストリーミングは出来ません。それから、アップロード出来るのは、基本的に作曲家及び編曲家の死後50年が過ぎた楽曲だけです。というわけで、残念ながら、アマチュア・ブラスバンドの方は殆どアウトです。吹奏楽の曲には比較的新しいものが多いですし、クラシックの曲でも編曲は新しいものが多いですから……。
著作権については、私の知る限りの事は「YouTubeに静止画(スライドショー)つきmp3をアップロードする」の方に書きましたので、詳しくない方は必ずご覧下さい。ちなみに、こちらに書かれた内容の正しさについては保障出来ません。ネット上での演奏配信は歴史が浅いため、JASRACのルールもちょくちょく変わっています。著作権についての責任は各自でお取り下さい。


2010/1/25訂正
上記の記述に間違いがありました。YouTubeへのJASRAC管理曲の掲載は、条件を満たせば作曲者以外でも可能です。正しくは、以下のリンクをご覧下さい。
「YouTubeに著作権現存曲を使用した動画をアップロードする件について」
なお、Last.fmについても、一定の条件を満たせばアップロードそのものは可能とのことです。詳しくは「Last.fmにJASRAC管理曲の演奏MP3をアップロードする件について」をご覧下さい。


3)Last.fmのアカウントを作成する

これについても、もういろんな人が既にWebに書いていますので、とばします(笑)google様にお願いして下さい。基本的には、
http://www.lastfm.jp/
へアクセスして、右上の「登録」ボタンを押し、質問に答えていくだけです。

ただ、ここで注意しなくてはならないのは、 このアカウントが、MP3をアップロードする権利を受け継ぐアカウントになる、ということです。オーケストラを代表してアカウントを作るなら、あとで誰かに移管する事も可能なようにしておくべきです(メールアドレスは団のものにしておくとか)。私はexciteについてきたlily_lilaの個人アカウントと、演奏アップロード用のアカウントを持っていますが、ウッカリこの先の手続きを個人アカウントにログインしたまま進めてしまって、サポートに英語でメールを書き管理権を移してもらう羽目に陥りました。Web上での移管はできませんので、この点は要注意。(個人アカウントだとScrabbleの結果などが表示されてしまって、アップロード用にはよろしくないのです)。

4)アーティスト/レーベルアカウントを作成する

まずアップロード用のアカウントにログインします。ウッカリ個人アカウントで進めてしまわないよう、再度画面右上をチェックして下さい。
すると、下の方に、ちいさくこんなのが見えます。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_15354594.gif


これの、「アーティスト」の方をクリックすると、次のページに飛びます。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_15411091.gif


ええ……ごらんの通り、ここから先は全て英語です。でも、google翻訳とか今は有り難い機能がいっぱいありますから、頑張って下さい。
それから、Last.fmはただ聞くだけなら日本語サポートがありますが、アップロード関係(アーティスト、レーベル部門)のサポートは英語だけです。質問も英語で送らないといけません。そのうち日本語対応になってくれるかもしれませんが……しかし、英語でメールを送る限り、対応は結構早いです。

ここでまず、既にアーティスト名もしくはバンド名が登録されていないか調べろ、ときかれます(画面左側の入力フォーム)。実は私もレーベルとアーティストの差がよくわかっていないのですが、バンドもアーティストと一緒ならオケもアーティストカテゴリだろう、と思ってアーティストで登録しました。

今迄アップロードしたことがないのになんでこんなこと聞かれるんだろう、と思いますが、これはLast.fmが、メンバーがコンピュータ上で聞いた曲の「アーティスト」名のホームページを自動作成してしまうからです(これもScrabble機能のひとつ)。なので、有名オーケストラで、CDレーベルから依頼を受けてCDを発売したことがあったりすると、もしかしたらそれを聞いたLast.fmメンバーのScrabbleで既にホームページが存在している可能性があります。

というわけですので、まずとりたい団体名で検索かけてください。
私は基本的に、英語サポートしかしていないようなweb siteで日本語名を使うのは危険だ! と思っている人間なので、今回も敢えて英語名で団体名検索かけましたが、まあ、専用ホームページのURLに日本語が混じっても良いなら日本語名でも問題なさそうです。

検索すると、以下のどちらかが出てきます。
Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_15543134.gif


Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_15545555.gif


上がホームページが存在しなかった場合、下が存在した場合です。
(ご覧のとおり、この検索は「完全一致」です。ですので、たとえば大文字小文字が違うとか、"を忘れたとか、半角スペース忘れたとか、そんな違いでも「違う団体」とみなされ、別にホームページを作っちゃいます。団体名の選択は慎重に!)

どちらの場合でも、「Claim this artist」をクリックします。すると、次のような画面になります。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_161732.gif


フォームに必要な情報を埋めます。まあ、多分日本語はダメでしょうから、名前も住所もローマ字で入れた方がいいと思います。国はJapanですが、最後にCurrencyというのがあります。これは、実はLast.fmにはダウンロード料を徴収するシステムがあるので、その決済通貨を指定しろ、ということか、もしくはそのロイヤリティの決済用通貨を決めろということだと思います。私はダウンロード料徴収はやらないつもりなので、ここはきちんと調べてませんが、JPYにしときました。
2009/11/16訂正:
すみません。Last.fm自体は有料ダウンロードは提供していない、とのことです。
そのかわり、amazon等の外部のダウンロード販売サイトへの検索がついています。
Last.fmが提供するのは無料ダウンロードの機能のみで、ここで聞かれるロイヤリティはラジオ放送に関する著作隣接権使用料の支払いの意味のようです。


これでNextボタンを押すと、次の画面に移ります。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_1691923.gif


わーたいへん、って感じですが、ダウンロード料やラジオ放送料を徴収しないつもりなら一番下(4番目)の

I don’t want to collect royalties or have entered into a direct royalty agreement with Last.fm.


のラジオボタンにチェックを入れれば良いです。それ以外の3つは、私にもよくわかりません。要はダウンロード料やラジオ放送のロイヤリティを要求する際に、著作権使用料徴収団体に加盟しているかどうか、ということみたいですが、日本ではそれがJASRACなのか、それとももっとworld wideな団体を指しているのか、よくわからないです。Last.fmで収入を得たい方は、頑張ってご自分でLast.fmにお問い合わせ下さい。ただし、さっきも書いたように英語しか受付けてくれませんが……
ちなみに、この選択は、あとで何時でも変更出来ます。

ラジオボタンにチェックを入れて「Next」を押すと、次の画面に移ります。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_1622535.gif


これは、一番下のチェックボックスにチェック入れて(まあ契約書ですから、チェック入れる前に読んだ方がいいと思いますが)、「Finish」ボタンを押せば登録完了です。

5)アップロード用MP3を用意する。

これも、説明の必要はないでしょうが、2点だけ注意点があります。
まず、ファイル名はスペースも含め全部半角英数字にしておいた方がいいです。2バイト文字は、アップロード画面で化けて何がなんだか分かりません。
それから、CD音源などからMP3に書き出すときに、ビットレートを128kbps以上にする必要があります。
現状、どうやらアップロードした音源はリサンプリングされて128kbpsにおとされているらしく(未確認、問い合わせ中)、128kbpsをリサンプリングして128kbpsに書き出すとあまりいい音になりませんから、160kbpsとかで用意した方がいいと思います。Last.fmからの回答がありましたら、またこの点はアップデートします。

8/19追記:
サポートから回答ありました。やはり、著作(隣接)権保護の関係で、わざと128kbpsに制限しているとのことです。


6)アップロード!

まず、アーティストアカウントの登録がちゃんと上手くいっていれば、画面右上のプルダウンメニューに「Music Manager」というのが加わっているはずです。これを選びます。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_1754976.gif



すると、こんなページが開きます。

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ここで「Upload Music」を選択。すると、アップロードフォームがでてきます。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_17112165.gif



ここで、MP3ファイルを選んでおき(複数選択可能、あるいは複数のMP3をzipで固めてそのzipファイルを送るでも可。私はMacOSXユーザーなので、フォルダに入れず、複数個のmp3を選んでおいて右クリックー>「xx項目を圧縮」でzipにしたのを送りました)、「Upload Queued File」ボタンを押します。アップロードが完了すると、以下のようにタイトルがオール・グリーンになりますので、「continue」ボタンを押します。(たまに赤くなるのがいて、それは失敗もしくはMP3以外のファイルです。ゴミ箱アイコンを押すと消せます。)

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すると、次にこんな画面になります。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_17395035.gif



まず、左上のアルバムタイトルを決めます。これ、結構忘れて「Untitled」とかいうアルバムができちゃうので注意。それから、各曲のタイトルを入力します。

ここで大事なのが、三つのラジオボタンです。
一つ目は、「radio play」、ネットラジオに流すことを許可するか、です。これは普通チェックを入れるでしょう。
これだけでは、ラジオを聞いている人がたまたま放送されたときに聞くだけで、折角このアルバムのページを訪ねてきても、視聴は30秒しか出来ません。

この記事の目的は、アマオケの演奏会の音を個人サーバーなどで負担をかけずストリーミングすることですから、30秒で切れてしまっては全く意味がありません。
そこで、二番目の「full-length preview」にもチェックを入れます。これで、webに来た人は、▼印プレイボタンを押すだけで、全曲ストリーミングで聞けることになります。勿論、3回までフルトラック、の制限もなく、いつでもフルトラックストリーミングです。

3番目のボタンは、「free download」、つまりこのMP3のダウンロードを許可するか、です。
先にアーティスト登録で「ダウンロード料を徴収しない」4番目のオプションを選んでいるので、無料ダウンロードになります。ここにチェックを入れると、アルバム中のタイトルの横に、「無料ダウンロード」というリンクが現れます。

実は、私がLast.fmを気に入った理由の一つがこの無料ダウンロード機能なんですが、現状、128kbpsより高いビットレートで作成してアップロードしたmp3も128kbpsにおとされてしまっている模様です……その点だけが気に入らない。ダウンロードしたMP3で128kbpsなんて、音質悪すぎますよね。今の御時世。ストリーミングは128kbpsでも、せめて、ダウンロードはもとのクオリティでおとさせて欲しいですが……。それこそ著作権の関係で無理なのか??

まあ、とにかくこれらのラジオボタンを選んで、「Save Changes」を押せば、次の画面が表示されます。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_1835060.gif



この、団体名のすぐ下に小さく書かれている「visit this artist’s Last.fm page」をクリックすると、団体名の名前のホームページが開きます。これの右側の一覧から「アルバム」をクリックすれば、今登録したアルバムが見えるはずです。

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以下は、アルバムカテゴリから、アルバムの一つを表示したところ。
曲名の横に「フルトラック」と薄いグレーで書かれているのが全曲視聴可能の曲、それ以外は30秒視聴とラジオ放送のみです。
ちなみにこれは、保科アカデミー室内管弦楽団の8/15の岡山公演の音源です。まだ8/29の東京公演がありますから、全曲でなく一部視聴可能にしてみました。

Last.fmにMP3をアップロードしてストリーミング配信する_f0064866_189436.gif



登録したMP3の公開状況を変更したり、トラックを足したり、消したり、アルバムを削除したり、ということも出来ますが、それは皆様で研究して下さい。
「Music Manager」に入った直後の画面で、「Manage Your Catalogue」を選べば、全ての作業が可能です。

ざっと、こんなところです。
YouTubeよりは、簡単にいい音がストリーミングで楽しめると思います。
ただ、128kbpsの制限がいつまで続くのかで状況も変わってくるかも知れませんが……。
現状、160kbpsのMP3を.movの中に埋め込んでアップロードしたYouTubeの音より、わずかにLast.fmの方が音質がよいような気がしますが、YouTubeもHQオプションがありますし、音もどんどん良くなってきています。このまま128kbpsの制限がとれないと、そのうち動画つきでもYouTubeの方が音質良くなっちゃうかも。
折角音だけなんだから、もっと音質に拘ればいいのにな、と思います。
(それとも、ロイヤリティつきにすればそうなるのか? よくわからん……)

8/19追記:
サポートからの回答によれば、将来128kbpsより上のビットレートでのストリーミングをする可能性はあるようです。が、ダウンロードはどうなのかな。多分アップロード直後にダウンサイズされたものを作成し、それしか保存していないんでしょうから、ストリーミングで聞ける音質がそのままダウンロードの音質になりそうです。うーん。192kbpsくらいまでいってくれれば、あとはそれ以上ビットレート上げてもコンピュータで聞く限りあまり差は感じないんですが。128kbpsだとちょっとダイナミクスが制限されちゃいますよね。

11/16追記:
やはりアップロード直後にMP3を128kbpsで作り直しているみたいです。
同時に、折角いれたID3タグも全部消滅(TT)
ID3タグは残しておいてもらわないと、コピーが出回ったら曲名もどこの誰が演奏したのかもわかんなくなっちゃいますよねえ。まあ、フリーのサービスにそこまで期待する方が無理か。。


個人的には、頑張って欲しいんですが。Last.fm.
(そして、3回まで全曲視聴可能を全世界のスタンダードにしてくれ!)
by lily_lila | 2009-08-19 16:24 | 音楽

渡米生活日々の備忘録。


by lily_lila