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Madisonの交通機関


本日、バスのpassを更新しに行って参りました!

こちらへ来て、驚いた事のうちのひとつが、このBus Passです。
Madisonには鉄道が一応ありますが、貨物専用で客車はありません。なので、公共の交通機関というと、市外まで縦横に伸びるバス路線のみということになります。
で、このバス路線全てに乗れるPassが、なんと、University Wisconsinの関係者は無料で貰えるのです!! 一年間有効で、学生及び教員、職員であるかぎり支給されます。

いくら大学街だといっても、一応Wisconsin州の州都だし、よく他の会社の人が黙っているものだ、と思いますが(まあ数年前にバス賃が値上がりしたときには流石に問題になったようですが)恩恵を受ける側としてはこんなに有り難いシステムはありません。
つまり、市内は土地が不足しているので車で出勤・通学しないように、ということなのだとか。
日本ではそんなものは常識ですが、車社会のアメリカでは厳しい要求ということになるんでしょうか?
学割ではなく、タダパス支給とは、本当に太っ腹です。
(ちなみに、お金を払ったら距離に関係なく1回1.5ドル。行き帰りを考えると3ドルですから、自前で払うと結構な額です。)

ただ、やはり、譲渡や使い回しの問題を避けるためか、一応University ID(写真付き)を携帯していないと無効、ということになっています。滅多に求められませんが、たまにキャンペーン期間中なのか、どの路線に乗ってもIDの提示を要求されることがあります。
とはいえ、圧倒的に大学関係者が多いこの街では、どれほど不正利用の例があるのかわかりませんが……(^^;;)

日本で大学の学費が高い、と騒がれて暫く経ちますが、実は、アメリカの大学(学部生、こちらではunder graduateという)の学費は日本どころの騒ぎではありません。
日本の年間の学費はまだ50万程度ですが、こちらでは、州立大といえど、その州(もしくは協定のある近隣州)の居住者でフルタイム1年間6000ドル、そうでなければなんと20000ドルです。アメリカ人でなければさらに+αです。日本なら、かなりお金持ち私立校に行ける金額のはず。
こっちの学生さんは自分でローン組んで大学に行く人が多い(そりゃ、生半可な親ではそんな金額ホイホイとは払えないでしょう)ので、なるほど、そりゃお勉強に必死になるはずだ、と頷けます。
もし卒業できなかったら、学歴がなくてPayのいい仕事につけない上に、数百万規模の借金を抱えることになるわけですから。

でも、その代わり、一度大学に入ったらその恩恵は十分に受けられる環境だとつくづく思います……バスパスもそうですが、図書館なども日本の地方国立大とは比べ物にならないほど充実しているし、論文も大学のIDで殆どの雑誌が無料でダウンロードできます。
私は物理畑の人間ですが、そんな私でもpubmed(医学関係の論文を集めたサイト)からウサギ関係の論文をタダでダウンロードできるのです!

日本にいたころは、自分の関係分野の雑誌はダウンロード可能でしたが、専門外の資料は流石に落とせませんでした(1部20ドルくらい払わないといけない)。大学の全学部生に、全分野の論文の閲覧を許可する契約料がどれほどのものか、考えると気が遠くなりますが、それを提供するのが大学の役目だという確固たる信念があるのでしょうね。

それから、もうひとつ、重大な学費の還元先があります。
それは、大学院生への手当です。
実は、こちらでは、一度学士号をとってしまえば、その先はほとんどタダで大学院に行けるという素晴らしいシステムがあるのです!
勿論、授業料は設定されているのですが、Teaching Assinstantとして働く事で大学から給料が出ます(分野によるかもしれませんが、理系はほぼそうです)。そのお金で、自分で学費を払って生活費も出せるのです。
(だから、日本の大学の受験はイヤだから大学はアメリカにいって…なんて考えているそこのアナタ、悪い事は言わないから、どこでもいいから日本で学士をとってから来た方がいいですよ!! その方が圧倒的に待遇もいいし、安上がりです!!!)

大学院生は、学部生と違って、研究室を運営していくために必要な存在です。教授一人で結果は出せませんから。だから、お給料を出すというのは当然の考え方なんでしょう(日本ではそうではないですけどね、、、博士課程の学生からまで学費とるってどうかしてるよ!!)
勿論、そんなお金が湧いて出てくるはずはありませんので、それも全て、高い学部生の授業料から捻出されている、ということなんでしょう。
日本にいた頃は、イギリスなどの例を引き合いに出して、日本の学費は高すぎる、と憤慨していましたが、今は学生ローンのシステムがしっかりしてさえいれば、こういうシステムもアリかな、と思います。問題は、学費が高いことより、むしろ、学生が学業に支障をきたさない範囲で自力で大学に行く手段が殆どない事のほうですよ。育英会(もう今は日本学生支援機構だけど)から月4万貰ったって、学費すら満足に払えない。生活は勿論ムリ。だから、親に頼らず卒業しようという志ある若者が、日夜バイトに明け暮れる、なんて本末転倒な事になるのです。
イギリスみたいなシステムは、14、5歳の若さで将来が決まってしまう恐るべきOレベル、Aレベルテストがあるため、限られた人間しか高学歴コースに進まない、という背景でこそ可能なんであって、大学への進学率が高い日本じゃどう頑張っても資金が足りません。
だったら、自分のノーミソ鍛える金は自分で調達する、というシステムを作るしかないでしょう。ねえ?


話が交通機関からすっかり逸れてしまいましたが(^^;;)

もうひとつ、多分Madison夏の風物詩といってもいいと思われるのが、赤いタダ自転車です。
実はこれ、公共機関ではありませんが、Budget Bicycle Centerという中古自転車ショップが貸しているもので、夏の間はとくにあちこちでお目にかかります。かくいう私も昔世話になりました(^^;)

これは、市内の車の交通量を減らす運動の一環で、デポシットを70ドル程度はらうと3ヶ月ほど赤く塗られた自転車を借りる事ができる、というもの。デポジットは、自転車を返すと(よほど酷く汚したり壊していない限り)全額返金してもらえます。
こちらでは、高すぎるフルタイムスクールに来るかわりに、夏の間だけ仕事を休んでサマースクールにくる人も沢山います。そういう人達は、長くて3ヶ月の滞在ですから、自転車を買うのはばかばかしいですよね。そんな場合にも、赤い自転車は大変便利です。

最後は、車。
もちろん、こちらは車社会ですから、車で出勤する人の数は相当な数にのぼります。
が、Madisonは湖に挟まれた特殊な地形も手伝って、原理的に一定数以上の車が流入出来ません。それが地元の人には大層不満のようですが、東京のものすごい混雑を切り抜けてきた身としては「それでいいのヨ!!!」って感じ!(笑)
どんな渋滞も、要は、車が多すぎるのがいけないのです!!(きっぱり)。
東京23区のような、円形の都市は、外郭の長さに対して中身の面積が広い。その中にギュウギュウに車を詰め込めば、当然、出口は大混雑です。
ところが、Madisonの中心部は、湖に挟まれた狭い地峡の上にある(地図参照)。この狭い土地では、十分な数の駐車場も作れないから、自然駐車場の契約料は上がり、みんなタダバスやタダ自転車を使いたくなるわけです。
まあ、夏はMadison名物夏の工事シーズンで、幹線道路も路線現象されて大渋滞、ということもままありますが、それにしたって、もとの車の数が知れているから、一時間もすればそこそこ解消します。首都高の6号から4号に抜けるまで6時間かかった、なんてウソのようなホントの話は、起こり得ません(実話。ほんと、シャレになりませんよ、、、)。

そんなわけで、Madisonの交通事情は、利便性も金額的にも私としてはかなり快適な部類に入ると思います。
何故、日本ではなかなか同じようにいかないのか、考える度に、物事はそう簡単には進まない、と思い知らされます。
同じシステムを東京の真ん中で導入しても、自転車人口は増えないだろうし(従って車の量は減らない)、これは人の移動の激しいところだからこそ有効活用されている、とも言える。
第一、東京の狭い道を自転車で走るのはかなり危険です。芝生もなくて、つまらないしね。
こちらには、天気がよければ、自転車の方が気持ちいい道がいっぱいあります。春先なら、出勤がてらノウサギの子供達も拝めますし、7月頃の夕方は蛍が飛びます。
そういう環境がないところで、いくら赤いタダ自転車があっても、あまり需要はないだろう、と思うのです。

こちらには、すごくいいシステムがいろいろとあるのだけれど、それを日本で実現しようとしたらまず片付けなければならない問題が山ほどある……使える土地の広さと人口密度がこうも違ったら、簡単には適用できないわけです。
もっとも、Madisonは全米でも住みやすい街上位候補だから、これを適用するのはアメリカの中でも難しいってことなんでしょうが……。。
by lily_lila | 2007-09-01 09:41 | 渡米生活...住

渡米生活日々の備忘録。


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