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明かりの話


自宅の照明器具の電球が、立て続けに切れました。
それで、ついにWalMartに買い出しに。

照明というと、これもかなり日本とは雰囲気の違うところかもしれません。
Madisonの土地柄かもしれませんが、こちらの夜の照明はとても奇麗です。
まず、色が統一されていること(白色ではなく、すこしオレンジっぽい光です)。
派手な宣伝看板がないこと(これは田舎だからかな?)
飛行機からみても、その美しさは変わりません。
暗い二つの湖の中央にそびえるCapitalだけが、もっと白い光でライトアップされていて、その白い壁を際立たせています。
飛行機の上からこの美しい光景を見る度、日本のあの無秩序な照明はなんとかならないものかな、と考えさせられてしまいます。

ところが、生活の場の照明となると、少々事情が異なってきます。
もしかすると日本人が渡米して最初に困る事の一つが、照明かもしれません。
なにしろ、アパートの類いはまず間違いなく、天井に照明器具をとりつける場所がないのですから!
つまり、全てスタンドで済ませろ、という事。
でも、アメリカンサイズの部屋は、勿論1つのライトスタンドだけで十分明るくなる広さではないわけで………

実は、私が学生用ドミトリーを出てアパートを借りたとき、最初に直面した問題がこれでした。
引っ越し直後、冷蔵庫やオーブン、電気式レンジなどは揃っていますが(これが本当に有り難い!)それ以外のものは何もありません。
で、友人に頼んで車を出してもらい、布団がわりのマットレスと上掛け、シャワーカーテン(これ忘れがちなので注意!)、バスタオル、折りたたみ式の机と椅子、洗剤や石けん、シャンプーなど、最低限必要な日用雑貨は買い込んだのですが、照明の事をすっかり忘れていました……
というか、電球や蛍光灯ならそのへんのWallGreenで買える、と思っていたんですね。
(ちなみにWallGreenは新生活スタートの皆様には大変重宝のドラッグストアです。基本はドラッグストアですが、当面生活に必要な日用雑貨や文具、レトルト食品なども置いていて、有り難い事に町中にもあります。アメリカは車で移動が基本なので、そういうものを買おうとすると、どうしてもショッピングモールまで車で、という感じになってしまいますが、WallGreenなら車がなくても行ける、というわけです)

で、家にもどってきて、まあ当分はシャンデリアの明かりで過ごすとしても、電球くらい買ってくるか、と天井を見上げて仰天!
これじゃ、どこにも照明器具つけらんないじゃん!!!

友達には先週車だしてもらったばっかりで、また頼むのも気がひけるし……
暫く迷いましたが、結局、当面の解決策として至極原始的な方法に落ち着きました。
つまり、蝋燭です(笑)。

こちらでは、蝋燭は緊急時の光源ではなくて、立派な生活照明の一つです。
雑貨店にも(勿論WallGreenにも)必ず置いてあります。バニラやフルーツの香りつきなど、室内芳香剤の代わりにも使われています。
日本だと、そんな火を日常的に使うなんて危ない!!ということになるのでしょうが、地震にほとんど縁のない場所だから出来る事ですね(笑)。
ただ、実際にはそれが原因の火事もありますし、扱いには十分な注意が必要です。

で、早速、蝋燭とスタンドを買ってきて、コンピューター机の端に置きました。
(これはあまりお勧めできませんね……机の上には紙もありますし。。)
リビング端のシャンデリアだけでは流石に手元が暗いですが、蝋燭が手元で2つも灯っていれば実は結構明るいです。まあ、細かい字の本を読むとか、書き物には向かないでしょうけど、パソコンたたくくらいなら十分。

それで、その時に、こんな生活も悪くないな、と思いました(笑)。
室内の明度は、日本に比べたら断然暗い状態ですが、なんというか、ものすごくホッとするのです。特に蝋燭の灯りにはそういう力があります。ついでに、職場で緊張していた頭が家に帰るとホッと緩む、というのを、文字通りその通りに実感しました。
私がちょくちょく拝見させてもらっているブログの中に、照明デザイナーの方のブログがあるのですが、その中の記事に非常に納得できる記事がありました(日付がかなり過去ですが)

http://blog.livedoor.jp/sirius_lighting/archives/24643387.html
(とてもきれいな光の写真満載のブログですので、他の記事もお勧めです♪)

人間の目は、ちゃんと環境に慣れるように出来ているというのは本当にその通りですよね。
そして、一度明るい光を見てしまうと、それより暗い状況では満足できなくなる、というのもすごくよく分かります。
日本で1つ電球が切れたといっては大慌てで新しい電球を買ってくる生活をしていたのは、少しヒステリックだったかな、という気が今はしています。
家でバリバリ仕事しなければならない人や、お勉強が大変な人は、勿論頭を覚ますためにも明るい白色灯が向いていると思いますが、本当に皆そんなに明るい光が必要なのかな?と。
我が身を振り返って、仕事はやっぱり職場できちんと済ませて、家ではゆっくり頭と目を休める生活の方が、本当はいいんじゃないか、エンドレスに明るい光の下で目に刺激を送り続けるのは、結局能率が下がってよくないんじゃないか、という気がしています。
特に、私の仕事はコンピュータばかり眺めて目も指も酷使していますので…(今も実は使い過ぎで指が痛い……)

もっとも、日本でヒステリックに灯りを増やそうとするのは、電球の色のせいかも知れませんね。
日本の室内照明は白色灯を使っている事が多いので、一つ欠けると非常に侘しい感じがしますよね。
こちらではもっと暖色の電球を使いますので(これはこれで、電力が安いから出来る話ですが。。私は勿論、日本人として節電の精神で暖色の蛍光ボールを使っています♪)一つ切れても暗くはなりますが、侘しいとかさびれた感じはあまりしません。しかも、電球の光が直接目に入らないよう、環境照明っぽく配置することが殆どなので、全体にぼんやり暗くなるだけで、あまり何処かの光が極端に減った、という感じもありません。
(アパートなどでは、壁がかならず凹凸のある塗りになっています。最初から光を乱反射させる事を狙っているんでしょう。日本のように漆喰の凹凸のない塗りだと厳しいかも)
そうこうしているうちに、目が慣れて、ま、もう1つ切れるまでこのままでいいか、って感じになります(笑)。

もう一つは、「明るくないと目が悪くなる」という昔から言われている言葉かなあ……。
私自身もそう言われて育ちましたし、ずっとそう思ってきましたが、ここへきて少し疑問を持ち始めています。
だって、こっちのコラボレータ、日本人と比べて特に目が悪いってわけでもないし(笑)。
よっぽど日本人の方が近視酷いですもん(笑)。
「目の色素が欧米人とは違う」という話はよく耳にしますけど、それとこれとは違うんじゃないかな?
色素が薄ければ、太陽の強い光が瞳孔をすり抜けて痛みを感じる、それは分かりますが、色素が濃いからって暗い光が見えないということにはならないのでは。
だって、光が足りなければ、人間の瞳孔はちゃんと広がるように出来ているわけですし。

要は、暗い、見にくい環境で無理矢理見ようとすると目に負担がかかる、ということであって、なんでもかんでも明るくすればいい、という事ではないような気がするんですよね。
見る必要もないのに夜にも強い光の刺激を与えれば、それはそれで矢張り目に負担を強いているのではないか、という気がしているのです。
何よりも、頭が休まらない。目が緊張している限り、頭は緩まないわけで、緩まないまま寝ればなんだか寝たような気がしなくて……
睡眠がきちんと取れていないから、目の疲れも抜けなくて、目がかすむ。だから、灯りを強くする。
なんだか、悪循環の輪にはまっているような気がします。

話が逸れましたが(^^;;)

そんなわけで、結局1ヶ月ほど、蝋燭の生活を送りました。そのあとは一応スタンドのライトを買って、文明人並の生活をしていますが、たまにあの蝋燭時代が懐かしくなります。
ただ、残念ながら、現在の同居人は毎日宿題に追われていて、家に帰ってノンビリ頭を休める、という余裕はないんですよね(^^;)
なので、彼女の勉強机を照らす灯りだけは、白色灯を使っています。
(コレが切れたので、WalMart直行、ということになったわけです。)
それでも、その他がオレンジっぽい光であるというだけで、全然雰囲気が違います。
今、これを全部白色灯に変えたら? と考えると、なんだかとても窮屈というか、気が休まらない感じがします……
もっとも、この件については、同居人はあくまで白色灯がお好みの様子で、意見が一致していないのですが(笑)。

さて、こんなんで、日本に帰っても大丈夫かな(笑)。
by lily_lila | 2007-01-30 10:30 | 渡米生活...住

渡米生活日々の備忘録。


by lily_lila