YouTubeにJASRAC管理曲を使用した動画をアップロードする件について |
ええと、大変遅ればせで恐縮なのですが(汗) 以前のエントリ 「YouTubeに静止画(スライドショー)つきmp3をアップロードする」 に記載したJASRAC管理曲の扱いについての記述に誤りがありましたので、ここで訂正致します。 2010/1/25 以下の内容は、今後変更の可能性があります。最新の情報は直接YouTube及びJASRACにお尋ね下さい。 以前はたしかに、著作権の切れていない楽曲の使用については全面的に駄目だったのですが、 2008年 10月に JASRACとYouTubeが提携した包括利用許諾契約にて、以下の事が可能になっていました。(というわけで、今まで上のエントリを見てアップロードを控えていた方、スミマセン!)
一つ一つ説明致しますので、続きをご覧下さい。 それから、ここだけ見てダッシュしてしまう慌てん坊な人のためにとりあえず禁止事項を書いておきます。 結論を言うと、以下の行為は依然として駄目(違反)です!
なお、YouTubeの著作権に関するガイドラインをきちんと守っていても、「著作権を侵害している」と第三者団体からイチャモンをつけられることがあります。最近とくに酷くなってきました。 これらの団体は、とにかく人の動画にイチャモンをつけて広告を強引に割り込ませ、人が黙っているのを良い事にその広告収入をかすめ取ろうというアヤシイ団体が殆どです。 怖がらずに、きっちり異議申し立てをして下さい。 意義申し立てが受理されない限り、広告収入はイチャモンつけた団体に流れます。 広告収入を得る設定にしていないのに、いつの間にか広告が入るようになっていたら、このケースだと思います。 詳細はこちらのページで。 実は、以上の件について、JASRACに問合せました。 問合せの内容は、文末に添付しましたので興味のある方はご覧下さい。 以下が、その回答メールの内容です。
文末の質問メールにある通り、私としては、YouTubeでの禁止事項を明確にして欲しかったのですが、このように非常に厳密な回答が返ってきましたので、以下添付されたリンクなどを見ながら解釈を致しました。 まず、1.「YouTube」の許諾範囲について ですが…… 順番にみていきます。 ・動画をストリーム形式で視聴すること。 これは、YouTubeにアップロードした時点でそうなりますので、勝手に遵守されるものです。 が、よくあるYouTubeの映像をダウンロードする方法でとってきて、たとえば自分のサイトのどこかに置いておいて、ダウンロード可能にする、なんてのは駄目です(そもそもYouTubeで公開してませんしね)。 ・自身が制作した動画をアップロードすること(内国曲に限る)。 これについては、YouTubeのアップロード規定にもあります。他人が制作した動画はそもそもアップロード不可です。内国曲に限る、というのは、憶測ですが、日本でJASRACが主契約者として管理している曲、ということだと思います。 JASRACは外国の著作権団体と管理契約を交わしており、外国の著作権団体が管理する楽曲が日本国内で使用される場合、その外国著作権団体に代わって使用を許諾し、使用料の徴収をします。 今回、YouTubeと提携した範囲には、この外国の著作権団体から管理を委任されている楽曲は含まれない、ということだと思います。詳しくは直接JASRACにお尋ね下さい。 2010/11/19 追記: この「内国曲に限る」という制限は、現在はずされている模様です。こちらをご覧下さい。 ・自身のブログ等の非商用サイトに貼り付けること。 これについては文字通り、商用サイトで販売促進には使えない、ということでしょう。 ただ、作曲者が自分の気に入った演奏をYouTubeで探してきて、自分のブログサイトにリンクする、等は可能だと思います(そこで楽譜の販売とかやってない限り)。 楽譜の販売もやっている、という方は、販売サイトとブログサイトと完全に分けてしまえば多分問題ないんじゃないかと思います。 (あくまで、多分、ですが。以前、販売サイトとそうでないサイトの違いは商品を見てすぐに買えるかどうか、つまり注文メールフォームが見える場所にあるか、購入ボタンがあるか、などで判断される、という事例をとあるホスティングサービスの回答で聞いたので。このへんは結構グレーゾーンなので、あからさまな販売促進に繋げなければ多分大丈夫、なのではないかと。) さて、以上はある意味簡単にクリアできるのですが、問題は、2.JASRACが管理する音楽の著作権以外の権利についての方です。 著作権というと何でもJASRACか、というと、決してそうではなくて、JASRACが管理していない権利があります。代表的なものが以下の3つらしいのですが、それ以外にもあるのかな?? 私もすぐには思いつきませんが…… つまり、JASRACが管理していないものは、当然ながらJASRACから許可は出せない、ということです。従って、以下については、動画をアップロードする本人が、アップロードの前に、個別に許可をとる必要があります。 ◆著作者人格権 http://www.jasrac.or.jp/profile/copyright/person.html 是非、ちゃんと真面目にリンクを読んでいただきたいのですが、、、 いくらJASRACとYouTubeが包括利用許諾契約を結んだといっても、作詞者、作曲者がYouTubeに載せるのは嫌だと言ったら駄目なのです。 作詞者、作曲者は、曲を作曲した時点で、以下の三つの権利を守られます。 (上記リンクが移動した場合のことを考えて、ここに引用します)
作曲者が掲載を拒否する例としては、演奏のレベルの問題があります。 昔から、クラシック音楽の世界では、初演の成功がその後の曲の運命を決める傾向があります。つまり、初演でいい演奏をしてもらえれば、その曲が知れ渡って有名になりますが、初演で作曲家の思い描いていたものと掛け離れた(まずい)演奏をされてしまうと、不評に終わり埋もれてしまう、といった具合です。 このため、作曲家は、大勢に聞かれるであろう音源には神経質になる可能性があります。勿論、演奏してもらえるならどんな演奏でもよい、いう方もおられますが、自分の曲をきちんと表現出来ていない、と思われる曲のネット上での公表に反対の方もおられる、ということです。どちらが良いとかいう問題ではなく、その人のポリシーの問題です。 というわけで、YouTubeに自分の演奏をアップロードしたければ、JASRACの許可は必要ありませんが、作詞者・作曲者の許可はとる必要があります。 そこがクリアできれば、ブラバンの演奏団体の方も、自分の学校の演奏を上げてホームページに張る、などが可能になります。 その際に、名前の表示をどうするか等を相談されるべきでしょう。あるいは、原曲をもとにした編曲作品の掲載についても、勿論許可をとるべきです。 YouTubeのパワー、かつ恐ろしくもある点は、最初に上がった音源の閲覧数が伸び、常に検索の上位に表示されてしまう可能性があることです。 この場合、一度何万回もの閲覧数を稼いだ映像の順位を下げることは簡単ではなく、その後でもっといい演奏が見つかり、作曲者がそちらを参考にして欲しい、と思っても検索の上位に上がって来られない可能性があります。 作曲者側も、そういったことも考慮の上で許可を出された方がいいと思います。 ◆著作隣接権 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime4.html これが多分一番ややこしいところだと思います。私自身も、未だにどこまで隣接権の範囲なのか迷いますが…… まず一番わかり易いのは、演奏者の権利です。演奏者が自分の演奏をネット上で公表したくない、と思った場合、著作隣接権の実演家の権利のうち、送信可能化権によってその意思は守られます。演奏者の名前さえ表示していれば勝手に上げて良い、というものではありません。 問題は、ブラバンやオーケストラの場合、これは演奏者全員が保有する権利だということです。つまり、厳密に言えば、団員の一人でもYouTubeでの公表に反対なら、アップロードしてはいけません 。 極端な例ですが、ある奏者がソロを失敗したとします。彼(彼女)はプロの奏者を目指しており、この演奏が知れ渡るのは嫌だと思っているとします。それを、他の団員や指揮者の圧力で、お前一人が我慢すれば良いのだから、とゴリ押しするのは、著作隣接権の侵害に当たります。多数決で決められるものではありません。 こういう問題がおこらないようにするには、演奏前に書面で公表を許可する約束を全員からとりつけておいた方がよいかも知れませんね。 また、上の方で「市販CDから作成したmp3を使うのは駄目」と書いたのは、著作権、著作者人格権だけでなく、この著作隣接権も侵害することになるからです。ごく稀な例として、あるアーティスト(自分で作詞作曲し、演奏もするアーティストとします)の友人がそのアーティストの許可を得て使う場合は、著作権、著作者人格権、演奏者の権利は守られますが、次に述べるレコード会社の権利は侵害されます。 レコード会社からも掲載許可を得られるというのはきわめて特殊な例でしょうから、ほとんどの場合、市販CD音源あるいはAmazonなどで買ったダウンロードMP3などを使用するのは駄目、と考えて間違いないでしょう。 次が、レコード製作者の権利です。いかに団員が許可しようと、作曲者が許可しようと、レコード会社が販売目的で録音した音源を勝手に使用することは出来ません。 一方、団員が記録として残すため、録音会社にお金を払って録音してもらい、CDを作成した場合などは、このレコード製作者の権利が全面的に団に譲渡されている状態である場合が殆どであると思われます。詳しくは、利用した録音会社にお尋ね下さい。 三つ目は放送事業者の権利ですが、これはアマチュア・オーケストラやブラスバンドにはほぼ縁のない話だと思います。が、もし、地元のフェスティバルなどで団が出場し、それを地元のテレビ局が取材した、などの場合、このテレビ局が撮影した映像、音源などを無断で使用することは出来ません。 音だけ貰って、画像は自分で用意しました、などというのも駄目です。自分でマイクを用意して、録音して下さい(勿論演奏者の許可を得た上で、ですよ!)。 さて、これでJASRACのページにある著作隣接権についてはほぼおしまいですが…… 最後にもう一つ、私達が体験した事例をお話します。 (ちなみに、私が作曲者ではありません) 作曲作品が音楽出版社に出版されることになった場合、殆どの場合、出版社はその楽譜をプロモーション(販売促進)する権利を引き継ぎます。その点、契約内容によってさまざまでしょうが、中には、作曲者が素人考えで勝手にプロモーションされるのは困る、という場合もあります。 出版社には、プロの世界の楽譜を売るノウハウがあり、そのバランス感覚は素人の考えの及ぶところではありません。公表する時期、音源の扱い、コンクールへの売り込みなど、時期やタイミングを見計らって、非常に慎重に交渉を進めている場合があります。 先ほども触れたように、音源というのは新曲を広めるために非常にパワフルではありますが、諸刃の剣でもあります。ネット上に公開するならば、出版社が認めたレベル以上の演奏(殆どの場合プロの演奏と考えて間違いないでしょう)でなければ困る、ということもありますし、公表する時期も他の交渉との兼ね合いを考えて慎重に行いたい、と思っているかもしれません。 したがって、演奏者が作曲家の許可を得ずに勝手に演奏を上げてしまうのは勿論駄目ですが、作曲家も、その曲の楽譜を出版する出版社が別にある場合には、勝手に掲載許可を与えるのはよくない、ということになります。 おそらくいざ裁判になれば、作曲者の意向が通るでしょうが(契約内容によります。契約書をちゃんと読んでみると、許可無くプロモーションに使うのは駄目、という趣旨のことが書いてある可能性があります)出版社と喧嘩して損をするのは確実に作曲者側ですから、ここは出版社の顔を立てるべきかと思います。 ◆肖像権(パブリシティ権) http://www.japrpo.or.jp/ 最後は楽曲に限らずどんな場合でも言えることですが、勝手に人の写真や映像を使ってはいけない、という話です。 自分が演奏したMP3に静止画をはりつけてアップロードするのも、これまでに記述した内容が遵守されていればOKですが、その静止画に他人の写真を勝手に使ってはいけない、ということですね。 たとえば作曲者やアーティストなどが自分のブログなどで公表している写真であっても、許可無しでは駄目です。ネット上で公表すること=著作権フリーではありませんので。 YouTubeとJASRACの包括利用許諾契約締結は、基本的には作曲者にとって大変有難い事だと思います。著作隣接権の制限をクリアする演奏を見つけるのは簡単ではないでしょうが、もし用意出来れば、自分の曲を音にして大勢の人に聞いてもらえるわけですから。 が、色々なことがあまりに短期間に変わり過ぎてしまい、楽譜出版やCD作成の契約の方が現状においついていない可能性も多々あります。契約時に、ネット配信の可能性についても確認しておく姿勢がこれからは必要になってくると思われます。 以上、今回このエントリーを書くにあたり、あちらこちらネットを眺めてみましたが…… 著作権の必要性に対し理解のある人、まったく理解のない人、色々だなあ、と実感しました。 しかし、今回JASRACと直接連絡をとってみて、あらためて気づいたのは、著作権管理そのものに対する誤解がとても多いことです。 白状すると、私もその一人でした。JASRACのホームページを読んでも、どうにも靴の上から足の裏を掻くような感じでピンときません。まあ、法律とか、権利とか、正確を期すれば期するほど分かりにくなってしまうものなんでしょうが……。 とにかく、今回はっきりしたのは、以下の3点です。
CDの違法コピーも、JASRACが怒るからダメ、なのではなくて、JASRACだけでなくレコード会社だって怒りますし、演奏者だって怒りますし、公表の仕方が悪ければ作曲者だって怒りますし、とにかく「なんだかよくわからんけど楽曲の自由使用をJASRACが禁じて利益を独り占めしている」というのは誤解だということです。 第一、CD販売の利益のうち、JASRACの取り分(作曲者への印税含む)がレコード会社の取り分を上回ることなんて普通ないでしょう。そうしたら、違法コピーで一番不利益を被るのは著作隣接権を持つレコード会社であって、本来一番目くじらを立てるべきなのはレコード会社だということになります。しかし、著作隣接権について、あまりレコード会社から表立った啓蒙が行われないのは、どうしてなんでしょうね。JASRACみたいに煩がられて、企業イメージに傷がつくのが嫌だから? しかし、まじめにリスナーに著作権、著作隣接権という概念を教えていかないと、そのうちアメリカみたいな大変なことになってしまうと思うんですがね…… こっちでは、著作権違反コピーが普通にネット上で公開されていたり、販売されています……音楽も、日本の漫画も。悪いとわかっててやっているのではなく、著作権なんて知らん、というのが丸わかりなサイトも沢山あります。堂々と、「自分のサイトは善意でアップロードし、無料で閲覧を許可している。他の有料サイトは違法なので買わないように」とか警告文を載せてたりしていますからね。(勿論、無料で閲覧させても違法ですよ!) 日本の出版社も、海外のそういうサイトまでは目が届かないようで。 では、最後に、私がJASRACに問い合わせたメールの内容を添付します。
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